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建設業許可をかみ砕く⓸~個にとらわれる弊害
建設業許可の要件の話。
あと1つだけ、残していました。人的要件の2つ目。
令和2年に謎の名称変更があって「常勤役員等」となったお役目。
それだと解り辛いから前の名称「経営業務の管理責任者」を後にカッコ付でつけている現状。
それなら、変える必要なかったんじゃないの笑
私は個人的にはこのお役目、「株分けの論理」だと理解しています。
建設業に経営側で携わった経験が5年以上ある。これが基本。
とかく黒い関係が密接に存在する建設業界で5年の期間、クリーンでいられた。
良い株からは良い株が産出される。そこに信用を当てているルールだと思います。
ただ、このお役目。実のところ大変評判がよくありません。
一定の経営経験を培う土壌も、昨今なかなか保てません。
特に企業規模が大きければ尚更。5年もの間経営陣として役員の列に居続けること、さらには
その方を要件として役員の列に留まり続けさせることが、なかなか難しいのです。
役員なんて、いわば名誉職。任期も1年だったり、次々に順番を待っている人たちがいます。
そんな中、許可の要件だからと特定の方をその流れに抗いながら配置し続けることは、
下手すれば社内に不穏な空気を及ぼしかねない。人事は企業の趨勢を決めるものでもあるからです。
だから、実は、令和2年の改正の際、はっきりと
「経管廃止」「人的要件なんて、技術能力だけで十分」
「経管で示してきた経営責任の部分は財務用件等で賄う」
なんてことがはっきりと打ち出されていました。廃止はほぼ既定路線でした。
でも、なぜか、廃止は合理化になり、結局のところ、現状維持プラスアルファへと形を変えていきました。
しかもプラスアルファに該当する部分は、一定上の企業規模がなければお話にならない話。
結局のところ、大部分の許可業者にとっては、ほぼ、なーんも変わらない現状となっています。
何が起こっていたのかは、想像の範囲でしかありませんが、
大きく舵を切った方がいるんでしょうね、という感じ。
そもそも、経管は経営側の責任者ということで、業法や請負契約を熟知しているという想定がなされていますが、
なったところで、何かしなければならない仕事、というものはありません。
いつも私が申請者さんに言うのは、「経管・専技はとにかくお元気で」ということだけ。
そういった経験を合算してようやく備えた方は、基本的に高齢のゾーンに入ります。
企業としても扱いが難しくなるとともに、すぐに「次の候補」を念頭に置かねばならないことにもなります。
死んだら、その時点で後釜がいなければ、許可はパーです。どんな大企業でも、パーです。
企業の社会的責任なんて、関係ない。どんな規模でも、その個人の健康に振り回される許認可となっています。
正直、それも、ナンセンス。
このルールは、実際のところだいぶ瀬戸際に来ているものと思います。
大企業ほど、取り回しがキツいものですから、
令和2年10月改正は大企業にとっては拡充とはなってはいるものの、人縛りであることにかわらない。
いずれ、業界のチカラの上に消えていくものと思っています。